深夜鈍行
(マレー半島縦断の旅)

 
  日本の正月にはいい加減飽きたので、マレー半島を適当に旅してくることにした。基本的に根がいい加減な性格なので、予約は一切せずに出かけた。場所柄野宿しても凍死ということはあるまい。
  結果的にルートは左のようになった。列車あり、バスあり、船あり、笑いあり、涙あり・・・かどうかまではわからないが、とにかくいい加減なルートとなり満足している。
  宿の方も一泊150Bのうらぶれたゲストハウスから、一泊300RMのTanjung Century Resort(ランカウイ)まで、ポリシーもくそもない選択となり、これまた満足している。
  9日間という短い間の移動となり、ゆっくり見ている余裕がなかったのが心残りだ。
 
 
 
カオサン・ロードの朝
  バンコクでの宿はカオサンのゲストハウスにした。細い路地裏をぐいぐい進んでいくと、Royal Guest Houseという、随分うらぶれた宿が見つかったので、そこに泊まった。一泊150B。
  チェックインしてから地球の歩き方を見ると(フツウ先に読まんか?)、「管理がいい加減で盗難も多いが、なぜか人気がある」なんて書いてある。ふーん、なんて思っていると、本当に盗難事件が起きてちょっとした騒ぎになった。恐るべし、カオサン。
 
ワット・プラケオ
  列車の出発まで少し時間があるので、王宮(ワット・プラケオ)を見学した。王宮であると同時に仏教寺院なので、何となく日本の寺を思い出させる。ピークシーズンなので、境内(?)は観光客でいっぱいだ。
  写真を撮って日陰で涼んでいると、本堂の方でお祈りが始まった。
 
ファランポーン駅
  マレー鉄道の始発点、バンコクのファランポーン駅。辺りは何となくナンプラーの匂いがする。
  ここからではわからないが、駅の内部は人ごみでごった返している。オレのマレー半島縦断の旅も、この駅から始まった。
 
線路はつづくよ
  午前6時半ごろ、寝台の解体が始まる。もう日本では見られなくなった風景だ。寝台の構造はA寝台と同じだが、上段がやや狭い。
  ハジャイ到着は20分ほど遅れそうなので、おっちゃんが寝台を片付けている間、隣の座席に座って朝日を眺める。
 
国境の港
  ハジャイの街からバスで一時間ほど走り、サトゥンの港にたどり着く。チケット売り場には長い列が出来ており、最後尾に並ぶが列がなかなか進まない。不安になって尋ねると、「あっちへ行け、こっちへ行け」のたらい回し状態。
  困っているとタイ語を話すインドのご婦人に助けられ、何とかチケットを買うことが出来た。もともとのんびりやっていた売り場担当が、不慣れな外国人対応で更に遅くなっていたのが原因らしい。料金払った後(190B)オレのチケットも闇に葬られそうになったし。しかしこれしきのトラブルは楽しむくらいでないと、アジアの旅は立ち行かないのだ。
 
タンジョン・ルー
  タイのサトゥンから船でランカウイ島に渡った。ホテルの予約なしでやってきたが、港近くの旅行会社で半ば奇跡的にリゾートの予約が取れ、カノープスを眺めながらの夕食という夢のような時間を過ごす。カオサンのゲストハウスと比べればまさに天国と地獄だ。
  島は結構広いのでレンタカーを借りて移動し、適当な浜で泳ぐ。写真は島の北にあるタンジョン・ルー。白い砂と青い海と晴れ上がった空という豪華3点セットがこれでもかとばかりに目の前に広がり、しばし呆然とする。
 
 
 
東洋の真珠
  ランカウイから海路ペナンにたどり着く。宿はチュリア通りの安宿だ。時間がないのでろくに見て回ることもできず、虫除けを塗り忘れたせいか蚊に刺されまくったことだけが思い出だ。写真は対岸のバタワースから見たジョージタウン。
  いずれ、この落とし前はつけねばなるまい。
 
超近代都市クアラルンプル
  バタワースからはバスで移動する。これが見かけは立派だが中身はポンコツらしく、坂道になるとみるみる遅くなり、時速10キロ程度であえぎながら坂を登るというシロモノ。
  そうやってたどり着いたクアラルンプルは、想像以上の近代都市だった。高層ビルが林立し、町並みも垢抜けていて東京、大阪の街角とあまり変わらない。建築物の意匠がイスラム風デザインをとりいれていることもあり、どこか超近代的な印象すら受ける。
  写真はKLタワーから撮った風景。中央にそびえるのが世界一の高さを誇る建築物、ペトロナスタワー。   展望台に入るなり音声ガイド装置を首にぶらさげられ、何となくお上りさん状態。解説音声ではとても美しい日本語を聞く。日本語は5日ぶりだったこともあり、甚く感銘する。
  それでは、サラマト・ジャラン。
 
マラッカ・セント・ポール教会跡
  クアラルンプルから2時間ほどかけて、マラッカに到着した。早速街をぶらぶらしてみると、マラッカ海峡を見渡す丘の上に、屋根のない、古い建物が建っている。昔の教会跡らしい。
  重そうな石碑がいくつもならんでいて、光と影の対比がなんとも美しい。
 
マラッカの落日
  セントポール教会跡の丘の上から眺めたマラッカの落日。「深夜特急」にも雲ってよく見えなかったと書いてあるし、他の旅行記を見てもなかなかきれいに見えるものではないらしい。
  この日も霞んで見えなくなりそうな太陽を、何とかフィルムに収めたのが右の写真。椎名誠ふうに言えば、「赤玉ポートワインのような太陽」だ。
 
シンガポール駅
  マラッカから出るバスに乗り遅れて、慌ててタンピンまでタクシーを飛ばしてかけつけると、乗ろうとしていた列車も遅れていた。まあ、これがマレーシアなのだろう。
  そこからやけに濃い緑の中を縫っておよそ5時間、シンガポールに到着した。バンコク側と違い、こちらは随分閑散としている。
  到着して真っ先に駅の両替所で一万円近く持っていたリンギットをシンガポールドルに替えてもらう。リンギットは国外持ち出し不可と聞いていたのだけど、ひょっとするとシンガポールでは普通に両替可能なのかも知れない。
  
 
旅のおわり
  シンガポール・マウントフェーバー公園の夕暮れ。わき道から上ろうとして行き止まりになり、何度目かのアタックでようやく頂上にたどり着いた頃には、すっかり夕暮れ時になってしまっていた。
  何だかこのまま帰るのがもったいないような気がして仕方がないが、明日からは日本のフツウの生活者だ。この先どこにたどり着くのかはわからないが、とりあえず陽の当たる方に歩いて行きたい。
  さて、次の旅はどこに行こうか・・・

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